チームリーダーの条件から考える中堅社員に必要なスキルと教育

記事公開日
2021.06.17

この記事のポイント

中堅社員には漏れなくリーダーとしてのスキルが求められます。では、チームリーダーにとって必要なスキルとは、具体的にどのようなものを指すのでしょうか。
ここでは、リーダー候補の中堅社員へと効果的な教育を行うため、「チームリーダーの条件」ともいうべきスキルについてご説明します。

中堅社員に必要なスキルといってもさまざまですが、今後組織を率いる立場になるチームリーダー以上の条件から考えると「広い視野で仕事を考える力」「人を動かして仕事を進める力」「変化や不確実性に対応する力」の3つが必要になるでしょう。

■広い視野で仕事を考える力
リーダーを担う中堅社員は、現状の仕事におけるチームの課題を見つけなければなりません。また、課題をクリアするためのプロセスを明確にするスキルも不可欠です。これらは、「広い視野で仕事を考える力」と定義することができます。

■人を動かして仕事を進める力
仕事のアサインや進捗のマネジメントなど、「人を動かして仕事を進める」ことは、職場における中核メンバーの非常に重要な役割です。メンバーの中心に位置する人材として十分に機能するためには、個々のメンバーと関係を築くコミュケーションスキルや、メンバーの業務意欲をわかせるスキルが必要となるでしょう。

■変化や不確実性に対応する力
さらに、中堅社員には業務上たびたび遭遇する変化や、不確実な要素に対応する力も必要になってきています。自身の裁量で責任を持ってメンバーに指示だしを行わなければなりません。指示は説得力を持たせるためにも、自己の更新を続けて1プレーヤーとして秀でている必要があります 。

一方で、企業の多くは「役割転換不全」「キャリア形成不全」という、中堅社員のリーダー育成に関する大きな問題を抱えています。それぞれについて、以下でご説明します。

■組織のフラット化による役割転換不全
近年の企業において顕著に見られる傾向が、「組織のフラット化」です。組織のフラット化により、リーダーポジションが形骸化している現場が少なくありません。形だけのリーダー職に昇格しても、フラット化した組織内ではスキルを磨く機会や、自覚を持つためのチャンスが生まれにくくなっています。

■未来の不透明性からのキャリア形成不全
ビジネスパーソンとしての未来に不透明性を感じていることから、会社に帰属せず一定の距離を保つ従業員が増えています。1プレーヤーとして役に立つスキル形成だけに躍起になり、組織リーダーとして機能するための能力形成には興味を持っていない方が多い傾向にあります。

このように、現在の中堅社員は、そもそもリーダーとしてのスキルを身につける意欲が低いことに加え、組織のフラット化により中堅リーダーへの役割転換の機会も与えられていません。このような構造的な要因も、中堅リーダーが育たない一因です。