それでは、テレワーク下のマネジメント課題をどうしたら解決できるのでしょうか。ここからは5つのポイントを提示したいと思います。
(1)「納得感のある評価」を実現する方法
●目標管理制度を変える
プロセスを問わず、成果だけを見るようにすれば、シンプルに評価できるようになります。また、自律型社員の育成にもつながります。
●1on1の機会を増やす
マネジャーとメンバー間のコミュニケーションが増えれば、プロセスの見える部分が増え、評価の納得感が高まります。
おすすめ研修ラインナップ
部下の成長につながる「1on1」の進め方 ~やる気を引き出し、行動からの学習を促す対話の方法~【1日】
【オンライン研修】評価者研修 ~部下育成と組織業績につながる人事評価の基本~(HRM-Q:評価力向上研修)【1日】
(2)「メンバーの自律」を実現する方法
●メンバーの自律を促す「自律支援型マネジメント」を行う
ただし、「タイミングに合わせた関わり」が重要です。例えば、先の緊急事態宣言時のように混乱や不安が大きな時期には、自律支援よりも直接的なサポートが重要です。メンバーのテレワーク環境を整えたり、メンバーの孤立を防いでメンタルケアを行ったり、テレワーク下の仕事の新たな進め方としてスタンダードをつくったりする方が先決なのです。混乱や不安がなくなり、状況が落ち着いてきたら、そのときにはじめて「自立支援型マネジメント」を行うようにしましょう。
●自律している社員を高く評価する仕組みをつくる
●自律への気づきを得られる場を用意する
●自律型社員を育成できる教育体系を構築する
●メンバーの自律を上手に促すマネジャーを育成する
(3)「経営方針の浸透」を実現する方法
●ミドルマネジャーがメンバーに経営方針(ミッション、ビジョン、バリュー)を伝え、それが自チームでは具体的にどのようなことを意味するのかを例示します。経営方針の浸透は、メンバーが腑に落ちるまで、粘り強くつづけ、メンバーの共感を呼び起こす必要があります。
(4)「チーム内の対話」を実現する方法
●1on1など、会話ができる機会を増やす
●オンライン上のフリースペースを用意し、同僚同士や、組織間を超えた先輩後輩が関わる場を設ける
例えば、Zoomなどでチームの誰もがいつでも気軽に参加できるオンライン会議の場を用意します。そこを「バーチャルなオフィス空間」に見立て、テレワークしているときにはチームのみんなができるだけ参加するようにします。話したければ話してもよいし、話さなくてもかまいません。何も話さないまま、つなぎっぱなしで仕事していればよいのです。気楽な雑談も歓迎します。そのような場をつくると、ちょっとした情報共有やノウハウの共有ができるようになります。また、「体調、大丈夫ですか?」といった確認もしやすくなるでしょう。オンライン上のフリースペースは、さまざまな意味で有効です。
(5)「マネジャーをフォロー」する方法
●ナナメの関係でフォローし合う
マネジャーの仕事内容が大幅に変わってきているため、悩みを抱えるマネジャーが非常に増えてきています。そうした悩みは1人で抱え込まず、誰かに相談することが大切です。とはいえ、直属の上長・部下に相談するのは難しいことも多いでしょう。そんなときは、「ナナメの関係」で相談し合うことをお勧めします。つまり、隣の部署や他部署の上長に相談するのです。オンライン会議を使えば、簡単に越境し、相談し合うことが可能です。
テレワーク下のマネジメント課題を解決するのは決して簡単ではありませんが、解決に近づいていくことは可能です。ぜひ、ともに前に進んでいきましょう。